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仙台地方裁判所 昭和29年(行)9号 判決

原告 加藤辰太郎

被告 仙台国税局長

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告が、仙台北税務署長の原告に対する所得金額および所得税額の更正を相当としてなした昭和二十九年四月十二日附裁決を取り消す。右税務署長が、原告に対し原告の昭和二十七年度所得金額を金四五三、二〇五円と更正した昭和二十八年六月二十五日附決定のうち、金二六一、三〇〇円を越える部分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求めると申し立て、請求原因として、

(一)  原告は肩書地に居住し、農地三町三反五畝を耕作して農業を営み、かたわら、仙台市高砂農業協同組合長の職にある。

原告は、昭和二十八年三月十四日、原告の昭和二十七年度分所得額を金二六一、三〇〇円と申告したところ、仙台北税務署長は昭和二十八年六月二十五日右所得金額を金四五三、二〇五円と更正決定した。右決定は同年六月二十六日原告に到達した。

そこで原告は同年六月二十七日右署長に対し、再調査の請求をしたところ、同署長は同年十月十三日右再調査の請求を棄却する旨決定した。この決定は翌十四日原告に到達した。原告は同年十一月十一日被告に対し右審査の請求をしたのであるが、被告は昭和二十九年四月十二日審査請求棄却の決定をした。この決定は翌十三日原告に到達した。

(二)  しかしながら、原告の昭和二十七年度農業所得は、別表(一)収支計算書のとおり総収入金五八九、九五七円、必要経費金四四七、一七五円であるから差引金一四二、七八二円であり、これに前記農業協同組合長として給与所得金一七一、〇〇〇円を加えた金三一三、七八二円が原告の同年度の総所得額である。

よつて、被告および仙台北税務署長のなした前記決定は違法であるからその取消を求める、と述べ、

被告指定代理人の主張事実中、原告の係争年度における田畑の耕作反別が被告指定代理人主張のとおりであることは認めるが、その他の事実は否認する、と述べた。

(立証省略)

被告指定代理人は、原告の請求を棄却する、との判決を求め、請求趣旨第二項は訴外仙台北税務署長を当事者とすべきであり、これについて被告は適格がないものである、と述べ、

原告の請求原因に対する答弁として、

請求原因第一項は、再調査申請の日時、審査請求の日時を除き認める。原告が仙台北税務署長に対し、本件再調査の申請をしたのは昭和二十八年七月十五日であり、本件審査の請求をしたのは、同年十一月十二日である。

請求原因第二項中、原告が昭和二十七年度において、別表(一)のうち雇人費明細書欄の年雇人賃金二四、七八〇円、雇人米代一三、四六五円、公租公課明細書欄の共済掛金八、一二七円二十八銭を夫々支出したこと、三五五人の臨定雇人を雇用したことはいづれも認めるが、その他の事実は否認する、と述べ、さらに、

原告は昭和二十七年度において、仙台市高砂において、水田二町九反三畝および畑四反一畝(普通畑三反六畝、そさい畑五畝)を耕作し、かたわら、仙台市高砂農業協同組合長の職にあり、家族八人、年雇三人で、馬二頭を所有し、生計を立てていたものである。

ところで、本件審査請求において農業所得を明らかにするため原告が提示した資料は、わずかに農家簿記、資産負債明細表、棚卸資産明細表、保有米説明書、収支計算書、その他公租公課、電力料等の断片的な若干の領収書等のみであつて、これらの資料によつては、原告の農業所得を明らかにすることはできなかつた。すなわち、右農家簿記(甲第一号)の現金の出納に関する事項、固定資産に関する事項、収入に関する事項、棚卸に関する事項等に関する記帳が不完全であり、又資産負債明細表(乙第十九号証の三)は、固定資産についての経理が恣意的で、流動資産の計上が脱落し、負債についての記載も矛盾がある。棚卸資産明細表(乙第十九号証の二)の記載は到底信用することができない。例えば昭和二十七年度期末における米の所有量を一石九斗三升六合と計上しているが、原告は昭和二十八年以降二三石八斗を供出しているし、種もみとして一石六斗、食用として一〇石以上を保有していることからみてその記載がいかにいい加減のものであるかが明かである。又保有米説明書(乙第十九号証の四)は、右棚卸明細表と対比すると、右同様措信し得ないものであり、収支計算書はその基礎となるべき正確な資料がなく、恣意的に作成されたにすぎないものであるから、そのまま信用することはできない。

従つて、原告の農業所得を算定すべき適確な資料がなかつたので、被告は、次に述べる農業所得標準率によつて原告の農業所得額を推定した。

すなわち、先づ仙台北税務署管内町村を三地区に区分し、各地区ごとに地方状況中庸と認められる一町村を認定し、その基準町村については各一〇戸、その他の町村については二戸の農業を無作為抽出し、その選定農家について坪刈、俵調、作付状況、帳簿等をできるだけ精密に実額調査し、一毛田については石当、普通畑、そさい畑については反当所得(収入金額より必要経費を控訴したもの)を算定し、これをもつて右管内農家の田については石当、畑については反当の標準所得率とした(別表(二)ないし(四))。そして、原告の一毛田生産石数六九石七斗と、又普産畑、そさい畑各耕作反別を夫々三反六畝、五畝と認め、右石当又は反当標準所得率を乗じた。そのうえ、平年作に対し三〇%以上減収した災害田反数に、前記と同様にして算出した反当減算所得標準(別表五)を乗じた数額を右田所得から控除し、これを原告の田、畑所得と指定した。

そして右田、畑所得の算出上収入に含まれていない供出追払金、俵代、供出完納奨励金等をこれに加算し、又、個別性の大きい経費として田畑所得標準率算出上経費に含まれていない馬費、改良区費、雇人費、共済金等をこれにより別途控除経費として控除した。右のうち、原告の供出追払金は一、二二三円、供出完納奨励金は五、四九〇円であり、俵代は、俵代玄米一石当一〇〇円と推計し、これに原告の供出割当数五七石を乗じ五、七〇〇円と推計した。又、標準外経費のうち馬費については、原告の資料は不完全でこれを明確に算定することはできなかつたので、公開農業所得標準率中、農耕馬一頭一九、五〇〇円を適用し、原告所有の馬二頭分金三九、六六〇円と推計した。雇人費については、うち賄費については原告の農家簿記記帳には家族の分も含まれているので、賄費支出ある日の家族延人員(五七二人)同年延人員(一〇八人)同臨時雇延人員(二三一人)を算出し、総人員(九一一人)に対する雇人延人員三三九人の割合三八%を肴その他の賄費二二、五八三円に乗じ八、五八三円を算出し、酒代四、八〇〇円中八〇%三、八四〇円を雇人酒代と推計し、なお雇人仲介料その他として一、〇六二円を計上した。

雇人米代一三、四六五円、年雇賃金二四、七八〇円は原告主張どおり計上した。臨時雇人賃金については、臨時雇人の人名、稼働日時を明確にする資料がなくこれを確定することができなかつたので、訴外仙台市高砂支所長の仙台北税務署長宛回答(乙第十三号証の一ないし三)における中庸雇賃金を基本として、下半期の賃金上昇率を考慮し、臨時雇人賃金を二五〇円と推定し、これに原告主張の臨時雇人数三五五人を乗じて金八八、七五〇円と推計し、雇人費合計金一四〇、四八〇円と計上した。改良区費は金三、二四二円、共済掛金は八、一二七円として計上した。

よつて、原告の昭和二十七年度農業所得は別表(六)のとおり三六九、四三五円で、これに給与所得一七一、〇〇〇円を加えると原告の昭和二十七年度分所得は五四〇、四三五円である。

なお、生活費等を中心として資産負債の増減から計算すると、

(イ)  原告は昭和二十七年中において家族八人(うち一名三月死亡)をようし、仙台市高砂において農家として相当の生計を営んでいる。農林省発表の農業経済調査、家計支出調(東北分)によれば、昭和二十七年度中一人の平均家計費は三五、七五九円であるから、原告の世帯は年間少くとも二五九、二五二円を家計費として支出したことになる。

(ロ)  必要経費として認められない公租公課は三三、二七〇円(市民税五、八二〇円、所得税二〇、一七〇円、固定資産税七、二八〇円)

(ハ)  原告は昭和二十七年度中に倉庫を新築し、建築費として請負業者に三五〇、〇〇円を支払つた。

(ニ)  昭和二十七年度中の負債の増加は四、七三〇円である。

従つて(イ)、(ロ)、(ハ)を加え(ニ)を引くと六三七、七九二円となり、これより給与所得一七一、〇〇〇円を引くと、四六六、八一二円が農業所得となる。

この点から見ても、原告の昭和二十七年度の農業所得が三六九、四三五円を下らないことは明かであるから、原告の本訴請求は失当である。と述べた。

(立証省略)

理由

被告指定代理人は、請求趣旨第二項につき、被告は当事者適格を有しない旨抗争するから案ずるに、審査請求の決定に当り、国税局長は右請求が理由あると認めるときは、再調査の目的となつた税務署長の処分の全部又は一部を取消さなければならないことは所得税法第四十九条の規定により明かであるから、国税局長が税務署長のなした処分を相当と認め審査請求を理由ないものとして棄却の決定をなした場合、税務署長の処分の取消を求める訴訟において国税局長は行政事件訴訟特例法第三条にいう処分に該当するものと解すべきであるから、国税局長は被告として当事者適格を有するものと言わなければならない。従つて仙台北税務署長のなした原告の確定申告所得額の更正決定に対し、原告が再調査の請求をなし、更に被告に対し審査請求をなしたが、いずれも理由ないものとして棄却されたが、右更正決定が違法であると主張して更正決定の取消を求める訴訟において、被告は当事者としての適格を有するものである。

原告が肩書地で農業を営み、かたわら仙台市高砂農業協同組合長の職にあるものであること、原告が昭和二十七年度所得額について所定の期間内に仙台北税務署に申告したところ、同署長は昭和二十八年六月二十五日右所得額を金四五三、二〇五円と更正決定した。原告は右署長に対し再調査の請求をしたところ、同署長は同年十月十三日右再調査請求を棄却する旨決定したので、原告は被告に対し審査の請求をしたが、被告は昭和二十九年四月十二日これを棄却する旨決定したこと、原告の昭和二十七年度前記協同組合長としての給与所得が金一七一、〇〇〇円であることは、いずれも当事者間に争がない。

原告は、同年度の農業所得が一四二、七八二円であるのに、これを三六九、四三五円と更正した所轄仙台北税務署長の前示更正決定を是認した被告の本件審査決定は、違法であると争うので、以下この点について判断する。

成立に争のない甲第一号証、乙第一、第六号証、第十三号証の一ないし三、第十九号証の一ないし四、証人加義国寿、細谷金治郎、成瀬格の証言、原告本人尋問の結果によれば、原告のなした本件審査請求について仙台国税局協議団本部所属協議官成瀬格がその調査にあたり、仙台北税務署長から関係書類の送付を受けるとともに原告に対しても資料の提出を求め、その上原告宅に赴き資料の提示を求めたが、原告からは農家簿記(甲第一号証)、供米入庫伝票、電力料金受領証、予金通帳等の提示があつたので、これにより調査した結果、右資料によつては、記帳の状況からみて収支計算により農業所得を把握することができず、推計によりこれを算出するよりほかはないとの結論に達したので、農業所得標準率を適用して農業収入を推計して原告の農業所得を別表(六)のとおり算出し、仙台北税務署がした更正決定を相当と認め、被告は前示のように昭和二十九年四月十二日本件審査申請棄却の決定をしたものであることが認められる。

ところで、前記農家簿記(甲第一号証)には、経費支払、労働日誌の一部の記載があるのみで、固定資産関係事項、棚卸関係事項、収穫収入関係事項の記載がなく又家族の生活費と農業経費との区別が明確にされていない。又資産負債明細表(乙第十九号証の三)には、棚卸資産の記載がなく、流動資産としては出資金七、八九二円の記載があるだけで、現金、預金の記載がないことなどからみて、その記載は到底これをそのまま措信することはできない。

又、証人加藤国寿の証言により、原告は昭和二十六年度末において棚卸はしなかつたことが認められるので、右棚卸資産表(乙第十九号証の二)の記載及び保有米の根拠の説明と題する書面(乙第十九号証の四)記載は、たやすく信用することはできない。

前記帳簿、書類は、いずれも不備なものであり、その他の全証拠によつても原告の昭和二十七年度の農業収入、必要経費の総額を明確に知ることはできない(原告主張の別表(一)の収支計算書は、主として農家簿記(甲第一号証)に基くものであり、その記載の一部についてはこれを証する証拠があるけれども、その全部についてはその証拠がないばかりでなく、右表が収支の全部を過、不足なく表記していることを認むるに足る証拠がない。)。

従つて、右認定のような事情のものにおいては原告の農業所得は推計によつてこれを算定するほかはないものということができる。そして農業所得推定の基礎となるべき別表(二)ないし(四)の標準表は被告主張の方法によつて作成されたものであることは証人成瀬格、細谷金治郎の証言によつて明かであるから、右標準はいずれも妥当なものと言わなければならない。又、別表(五)の標準表は農業災害補償法第百九条の基準により、別表(二)の石当り適用所得と対照して作成せられたものであることはその計数によつて明らかであるから、適正なものと認めることができる。

(一)  そこで別表(二)ないし(五)の標準表に基き原告の田畑による所得を推算するに、

(1)  一毛田が二町九反三畝であることは当事者間争なく、その所得については、総生産量が六九石七斗であり、右当単価七、〇九〇円で合計四九四、一七三円であることは前掲乙第一号証、成立に争のない甲第三号証の一、第二十五号証によりこれを認めることができる。

(2)  普通畑耕作反別が三反六畝であることは当事者間に争がなく、その所得が反当一三、三五〇円で合計四八、〇六〇円であることは、前掲乙第一号証によりこれを認めることができる。

(3)  そさい畑耕作反別が五畝であることは当事者間に争がなく、その所得が反当金二三、〇八〇円で合計一一、五四〇円であることは前掲乙第一号証によりこれを認めることができる。

(4)  被害田減算額は、被害程度三〇%ないし五〇%のものが三反三畝であり、減算所得標準率が反当一、五九〇円であるから、五、二四七円であることは前掲乙第一号証によりこれを認めることができる。

従つて(1)ないし(3)の合計金額から(4)を控除した金額五四八、五二六円は田畑による所得である。

(二)  次に右(一)の所得の外に田畑による所得として次のものがある。

(1)  昭和二十六年度産米麦に対する供出追払金が少くとも一、二二三円であることは当事者間争ない。

(2)  昭和二十七年度の供出石数が五七石であることは前掲乙第一号証、甲第二十五号証によりこれを認めることができ、その俵代が石当金一〇〇円で合計金五、七〇〇円であることは前掲乙第一号証によりこれを認めることができる。

(3)  昭和二十六年度産米供出完納奨励金が金五、三五〇円であることは原告の自認するところである。被告はこれを金五、四九〇円であると主張しているが、右供出完納奨励金が石当一〇〇円の割で支払われたことは前掲乙第一号証により認めることができるが、原告の昭和二十六年度供出割当石数が五四石九斗であることを認めるに足りる証拠は存しない。

(三)  次に(一)の所得は田畑による収入から通常の必要経費を控除した額であるが、次の経費は特別の必要経費として(一)の所得から更に控除せらるべきものである。

(1)  (馬費)原告が馬二頭を所有していたことは当事者間に争ないところであるが、その飼育費については前掲甲第一号証(農家簿記)記載はこれを裏付ける受領証が完全に存しないので、これを信用することはできないし、その他これを証する資料がないので、推計によりこれを算出するほかはないところ、農耕馬二頭分の馬費が仙台市高砂地区における公開農業所得標準率調によれば、三九、六六〇円と推算されることは前掲乙第一号証により認めることができる。

(2)  (改良区費)原告が昭和二十七年度において田子堰水利組合費二、九六二円を支払つたことは前掲乙第一号証、成立に争なき甲第二号証の七の(二)によりこれを認めることができ、又、原告が落堀水防組合費二八〇円を支払つたことは被告において自認するところである。そして、原告本人尋問の結果により成立を認める甲第二号証の九によれば原告は係争年度においてなお沼堰修理工事費として金一、〇五〇円を支払つたことを認めることができる。なお原告は梅田川完全治水期成同盟会費金二、六〇〇円を支払つた旨主張し、原告本人尋問の結果により成立を認める甲第二号証の八の(一)によればこれを認めることができるが、右同盟会費が改良区費に含まれるべきものであると認めるに足る証拠はない。したがつて、結局、改良区費は合計四、二九二円と計上するのを相当と認める。

(3)  (雇人費)原告が年雇賃金二四、七八〇円、雇人米代一三、四六五円を支出したことは当事者間に争がないところである。原告が雇人仲介料その他として一、〇六二円を支出したことは被告において自認するところである。原告が雇人賄費八、五八三円を支出したことは前掲甲第一号証によりこれを認めることができるところであり、これについて原告は右賄費として二一、〇一〇円を支出したと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。次に、原告は雇人の酒代として四、八〇〇円を支出したと主張するが、前掲甲第一号証に原告が酒代として合計四、八〇〇円を支出したことの記載があるが、それが全額雇人費として計上されるべきものであることを認めるに足りず、右酒代のうち八〇%即ち三、八四〇円を雇人費として推計すべきことは原告の家族数、雇人数に照らして相当と認められる。次に臨時雇人数が三五五人であることは当事者間に争がないところである。原告は右臨時雇人賃金として金一〇六、八七〇円を支出したと主張し、原告が記帳した農家簿記(甲第一号証)には右臨時雇人賃金として金一〇七、一五〇円を支出した旨記載があるが、成立に争のない乙第十三号証の一ないし三、証人成瀬格の証言により成立を認める乙第十六ないし第十八号証によれば仙台市高砂支所管内においては賃金は約二〇〇円前後に協定されておりほぼ守られていることが認められ、特に原告方においでは右協定賃金以上を支払つているとの特段の事情の存することは認められないから、右農家簿記は措信することができず、臨時雇人賃金三五五人分を八八、七五〇円(一人二五〇円割)と算定している被告の推算は相当と認める。

したがつて、雇人費合計一四〇、四八〇円と推計する。

(4)  (共済掛金)原告が昭和二十七年度において金八、一二七円を支出したことは当事者間に争がない。

してみると、右(一)(二)の所得額より(三)の経費を差し引いた残三六八、二四五円が原告の農業所得であり、これに当事者間に争のない給与所得一七一、〇〇〇円を加算した五三九、二四五円が原告の昭和二十七年度における所得であると推算することができる。

従つて、仙台北税務署長のなした原告の所得金額を金四五三、二〇五円に更正した決定は相当であり、被告が該決定を相当と認めて原告の審査請求を棄却した決定もまた相当であるといわなければならない。

よつて、被告がなした原告の審査請求棄却の決定の取消並びに仙台北税務署のなした右更正決定の一部取消を求める原告の本訴請求は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 新妻太郎 平川浩子 磯部喬)

(別表省略)

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